本「武器としての交渉思考」(著:瀧本哲史)★★★★☆
NHKで瀧本哲史さんの報道を見たのがきっかけ。
京都大学での授業をまとめたもの。
タイトルからは、ビジネスにおける交渉テクニック(打ち負かすイメージ)が書かれているのかと思ったが、そうではなくて、現実を変えていくのは”交渉”によってであり、だからこそ学ぶ必要があるということだった。
交渉は、世の中を動かしていくための重要な手段であり、さらに、日常の中のコミュニケーションも交渉の要素が入っているとわかり、大きな夢の実現から日常生活においても参考にできる普遍的な考え方。
以下、印象に残った点を3つ。『』はすべて本書からの引用。
- 『「初めにロマンありき」
「ソロバンなくしてロマンの実現なし」
これは、大きな仕事を成し遂げたいと思うならば、常に念頭に置いておくべき事柄です。』(位置No.713)
ロマンとソロバン、韻を踏んで覚えやすい。
理念は立派だけれど、やっていることは大したことないダメなNPOの例で、意図することがよくわかった。誰もが賛同する、反対しようがないキャッチコピーだけ掲げても、地に足の着いた資源手配とかの計画がないと、実現可能性は低い。
口先だけでなく、実際に現実を変えるためには、目指すビジョンをしっかり描き仲間の共感を得るのに加えて、先立つもの、お金、労力が必要。
- 『相手に交渉のテーブルについてもらうためには、「自分の立場を理解してもらう」ことより、「相手の立場を理解すること」のほうが大切です。
つまり、「僕が可哀想だからどうにかして!」ではなく、「あながたこうすると得しますよね」という提案をするべきなのです。
相手側の立場、利害関係を考えて、相手にメリットのあることを提示すること。』(位置No.1141)
自分の言い分だけ主張するのは、子供の論理、ということだけど、うっかりやってしまいがちだと思う。
逆に相手が、自分の都合だけ押し付けてくるとき、こちらはそれすぐにわかる。取り合わない。なので、こちらから押し付けているときは、たとえ何も言われなくても「自分の都合ばっかり」と思われてるんだろうなと。そうなってしまったら、うまくは進まない。
- 『私が本当にひとつだけ、これだけはみなさんに覚えておいてほしいということを明記するならば、それは、「言葉こそが最大の武器である」ということになります。』(位置No.3104)
言葉には力がある例として、オバマ大統領や明治維新が示されている。
なるほどオバマ大統領のスピーチのうまさを例に出されると、言葉には力があることに反対しようがないが、自分の経験でそんな劇的なことが起きたことはない。
ただ、発する言葉が自分や相手の気持ちや行動に影響を与えるのは確かと実感してる。