本「第五の季節<破壊された地球>」★★★☆☆

新聞の書評で知ったアメリカのファンタジー小説
三部作で、3年連続でヒューゴー賞を受賞したとか。 
賞を取っているなら期待できる+長編三部作で長く楽しめそうと、読んでみることに。

設定がおもしろい。
まず、人の営みが何事も”地球”を中心に据えて進んでいく。
なぜなら、”第五の季節”、5個目の季節、超異常気象+天変地異が定期的に発生するから。
やたらと”地球”という単語が出てくるので違和感があったが、”神”とか”天”に置き換えると納得できる。Oh my Godの替わりにOh my Earthといったふうで、神に・天に誓うのではなく地球に誓ってる。人々の意識が上ではなく下に、足元の地球の機嫌をうかがう、現実とは逆の世界観。

次に、登場人物の超能力も、しっかり地球・地面・地殻と結びついてる。こんなに足元を意識させられるのも珍しい。
地球が現実よりはるかに活動的で、地殻を変動させ、人間の生活に影響を及ぼすから、地球のエネルギーをコントロールして災害を抑える能力を持つ人たちが活用されてる。人間ではないけどある程度意思疎通できる”石喰い”、いったい何者?と思う存在も出てくる。

SFと聞いて近未来的な世界を思い浮かべたけれど、技術・社会制度は未来ではなく過去に戻った印象。移動手段は徒歩か馬、通信は手紙?、人は皆平等ではなく生まれついての階級あり、など。

主人公が3人、それぞれの話が出てくるのでやや混乱するし、独特の語り口で読みづらい箇所もあるけど、読み終わると3人の関係が分かってすっきり、続きが気になる。

基本的に現実にはありえない設定の話なので、ファンタジーとして楽しめるが、たまたま日本は地震も災害も多いし、新型コロナウイルス感染拡大で生活が一変するのを目の当たりにしたばかりなので、”第五の季節”に備える必要性、災害が起きてしまったときの人間の行動には、少し共感できるところもある。