本の感想「母の形見は借金地獄(歌川たいじ著)」★★★☆☆

コミックエッセイなのでi-Padで読んだ。

母の形見は借金地獄 全力で戦った700日

母の形見は借金地獄 全力で戦った700日

 

時系列では、映画化された「 母さんがどんなに僕を嫌いでも」の続編的な位置づけ。
突然母親が亡くなって、母親が親戚や知人から借りてた数千万円の借金を返すために、必死で駆けずり回った経緯が書いてある。

本の冒頭と最後に夏の日の日常風景が登場。
普段忘れがちだけど、平穏な日々がどれだけ貴重なものか、”平穏な夏の日”と”借金返済地獄”を対比することでくっきりと伝えてくる。

とても解決できそうにない大きな問題にぶちあたったとき、その問題を直視して、何をすべきか考えて相談して行動に移すハードルは高いのに、それをできる強さがある。
支えてくれる周りの人たちの存在もとっても大きい。
あきらめずに真剣に努力し続けるからこそ開けた道があり、出会った人がいたんだろうなとすがすがしい。
とても真似はできないけれど。

そもそもを考えると、相続放棄したんだから、自分が親の代わりに借金を返済する義務はない。
ないのに、「知らんぷりはできない」とばかりに努力するのは、日本人的美徳?矜持?
私が仮に同じ立場に立ったら、日本で刷り込まれた価値観が発動して、同じようにがんばるんだろうか?申し訳ない気持ちにはなると思うけど、法的義務は別だからね…と割り切りたい。
貸した方も、貸した相手の、相続放棄した子供に返済を迫るのは違う。違うけど、誰かを責めずにはいられないんでしょう。本当は貸した自分の責任とわかっていても。