スマホ脳(著:アンデシュ・ハンセン)★★★★☆

期待とのギャップ:★★★★☆
夢中になれる :★★★★☆
発見あり :★★★★★
総合 :★★★★☆

スマホ脳(新潮新書)

スマホ脳(新潮新書)

 

スマホが脳に与えている影響を説明してくれる。

SNSサービスなどは、私たちがスマホを常に見ていたくなるよう、脳の特性をうまく利用して、画面を見る・スクロール・クリックに誘導しているらしい。見てもらえるほど、広告収入の点で価値が上がるから。

もはや今さらだが、日常生活で周りを見渡せば、通勤電車の中でも会社のエレベーターの中でも、スマホを見ている人が多い。ほんの少しでも手持無沙汰な時間ができると、スマホに手が伸びる感覚は自分もよくわかる。

ただ、自分が見たいからスマホを見ていたのかと思いきや、スマホにコントロールされてるのかも?と気づいて、ぎょっとした。何かしらメッセージの着信があると、思わずチェックしたくなるのもその1つ。スマホごときに行動を左右されるのはやめておきたい。

 

スマホの話もおもしろいが、私たちが現代のデジタル社会にうまく適用できない、その前提となる脳の特徴の説明がわかりやすくて納得感があった。
いわく、「脳は現代社会に適応するようには進化していない。人類の歴史のほとんどの時間が狩猟生活で、現代社会・インターネットを使うようになったのは最近のほんの一瞬。私たちの脳は、狩猟・採集生活に最適化されたまま」

なので、
・飢餓の脅威から身を守るためカロリーをため込み
・ライオンに食べられる、など周りの危険を察知するために注意散漫になり
・食料を手に入れるため動き回り
・他人から殺されないためにも、周りの人間の情報を集める
特徴を持っている。そうしないと生き延びることができなかったので。

特に興味深いのは、「運動」が集中力を増しストレスも予防するなど、いいことづくめだということ。「運動」が体にいいだろうことは経験からも直感的にもわかるけれど、知能にもよい効果を与えるとは。
現代人は、自分の足で動き回るしかなかったサバンナ時代に比べて、運動量が圧倒的に減っている。それはサバンナ時代のままの脳には、物足りないということだろうか。

「運動」はめんどくさいと思ってしまうが、逆に運動しないなんてもったいないということ。同じ著者の「一流の頭脳」を読んでますます確信してしまった。

一流の頭脳

一流の頭脳

 

 

決定版 日本のいちばん長い日(著:半藤一利)★★★★☆

期待とのギャップ:★★★★☆
夢中になれる :★★★★☆
発見あり :★★★★☆
総合 :★★★★☆

つい先日著者が亡くなったと知り、読んでみることにした。

終戦間際、1945年(昭和20年)8月14日から15日正午にかけての一日が、ドラマ「24-TWENTY FOUR-」のように時々刻々と語られる。たったの一昼夜だったとは思えないほど、事件てんこ盛りだったと知った。

終戦玉音放送といえば、「耐えがたきを耐え、忍び難きを忍び…」の天皇のラジオ放送。ライブ放送なのか録音だったのかなんて考えたことなかったし、ましてや15日正午の放送を邪魔しようとする軍人がいたり、その目をかいくぐって録音したレコードを隠したり放送局へ正副2枚を別ルートで持ち込んだり、なんてフィクションさながらの出来事があったとは驚いた。
この1日の経緯を知ると、無事にというか、後から見れば遅きに失した決断だったけどとにかく戦争を終わらせることが、原爆を2個落とされた後でさえ簡単じゃなかったと、敗戦を決めるのはかくもこう大変なのか、と認識する。違う世界すぎて実感はわかないが。

1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(監修:藤尾秀昭)★★★★★

期待とのギャップ:★★★★☆
夢中になれる :★★★★★
発見あり :★★★★★
総合 :★★★★★
1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書

1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書

  • 発売日: 2020/11/30
  • メディア: 単行本
 

Kindle版なし。
仕方なく紙の本をAmazonで注文しようとしたら、発送予定日が未定の状態。
すぐに手に入らないとなったら余計に欲しくなって、注文だけした。そしたらたまたま翌日入った本屋で見つけたので購入。Amazonの方はキャンセル。
この記事を書いている今は、Amazonでも在庫ありになっているので、タイミングが悪かったのかと。

まだ1/10くらいしか読んでないけど、1年かけて少しずつ読むことを本が読者に提案してる形式なので、ゆっくり読んでいこうと思う。

今や本はKindleで買うことにしているので、Kindle版がないと買わないかどうしても欲しいものは紙の本を買う。
この本の実物を見て、ああこれはKindleでは無理だなとわかった。
1ページが1人の話=1話・1日分になっていて、3段組みの雑誌のような形式でぎっしり書いてある。
情報量が多いのにびっくりする。
Kindle Paperwhiteなどの端末ではとてもそのまま表示できる分量ではない。となると、レイアウトを変えるしかないけど、1日・1話・1ページのコンセプトが壊れるので恐らくそれは選択しないんだろうと想像してる。

定価2,350円+税で365人分のインタビュー記事、その人の「生きざま」「信念」「自分に深く刻まれた他人の教え」が載っている。お得感というか、この値段でこの充実っぷり、ありがとう、と言いたくなる。
値段の割に情報量が膨大で、パッと開いてランダムに読んでも面白いのが辞書みたい。

”仕事の教科書”というタイトルはせっかくの普遍的な内容を”仕事”に限定している印象を与えるのが残念。帯に書いてある”人間力と仕事力が身につく”の方がうまく全体を言い表せていると思う。
さまざまな分野で活躍した人の話の核心部分をぎっしり詰め込んで、読者がじっくりゆっくり最後まで読みやすいように1日1ページの形式とした驚きの本。

サクッとわかる ビジネス教養 地政学(監修:奥山真司)★★★☆☆

期待とのギャップ:★★★☆☆
夢中になれる :★★★☆☆
発見あり :★★★★☆
総合 :★★★☆☆

サクッとわかる ビジネス教養  地政学

サクッとわかる ビジネス教養  地政学

  • 発売日: 2020/06/16
  • メディア: Kindle
 

図解メイン。kindleoasis)だと読みづらいので、iPadで。

タイトルどおり、軽くサッサと読める、”地政学”の入門にはうってつけ。逆に言うと単純化しすぎ、表面的かもしれない。
今はこの本で十分だけど、もっと知りたくなったら本格的な本に手を出せばいい。

地政学的なものの見方を知らなかったので、イロハの説明がわかりやすくおもしろい。
国民感情とかイデオロギーとか横に置いておいて、地政学的にアメリカ、中国といった大国のふるまいの説明がつくんだなと。
日本で生活していると、国土を守る発想はあっても、今どき広げようという政府の方針や世論は皆無だと思う。なぜロシアや中国は虎視眈々と領土拡大をねらうのか、日本のように現状維持しておけば?と謎だったけど、地政学的にはならないんだ、と納得できたり。

アメリカとの関係も腑に落ちる。日本はアメリカに守ってもらってますよね、そうでした、昔学校で習った記憶がある、と。
何より驚いたのが、

『実は日本の石油ルートを守っているのは100%米海軍の力』(出展P52)

ということ。
中東からの石油タンカーを海賊や中国軍から守っているのは米海軍。
これだけをとっても、アメリカには頭上がらないのがとてもよくわかる。

日々流れる世界情勢のニュースをどうとらえたらよいのか・考えたらよいのか、大まかな枠組みをもらえた。

本『「自分だけの答え」が見つかる13歳からのアート思考』(著:末永幸歩)★★★★★

期待とのギャップ:★★★★☆
夢中になれる :★★★★★
発見あり :★★★★★
総合 :★★★★★

学校の「美術」って好きになれなかったけど、中学や高校でこんな授業を受けられたら全く違う思い出になっただろうなと思わせる。
小説のようにさらっと流し読みして、面白い・気分転換という本ではなく、ある程度真面目に読んだ。飛ばして読む気にならない、次々と「そうなんだ!」話が出てくるので、一気にちゃんと読んでも集中力続く。

「美術」を題材にして、今の環境が目まぐるしく変わり”正解”がない時代において「自分のものの見方」「自分なりの答え」を持てる思考法を伝えてくれる内容なんだけど、まずは前段の「美術」の授業として目からうろこ。

海外の有名どころの美術館行く前に知っておきたかった。
これからは絵を見るときに、もっと楽しめそう。今まで、知ってる絵だったり、自分の感性に合う絵は鑑賞していて楽しいけど、マイナー・理解できない色使い・形状だと1秒、いや3秒しか見る気になれなかった。
この本に書いてあるようなアウトプットしながら鑑賞とか、作者の思いや時代背景を蚊帳の外に置いて自分が何を思うか・感じるか・見つけるかに焦点を当てると、発見があって思いもよらない楽しみ方ができるはず。事実、この本で例示されている作品ではできたので。
1つ心配なのは、美術館行って、1つ1つの絵画の前でそんなことをやり始めたら見終わるのに時間がかかりすぎるし、体力消耗しすぎそうということ。3つくらいでしか実践できないかもしれない。

「美術」特に「絵画」の見方の話を、日常生活や生きる上での思考法へ…と普遍的な話につなげてるのも、まあそうなんだろうなと思うが、「美術」観点の話が面白くてその印象が強く残った。

本「Sleep,Sleep,Sleep」(著:クリスティアン・ベネディクト、ミンナ・トゥーンベリエル)★★★☆☆

期待とのギャップ:★★☆☆☆
夢中になれる :★★☆☆☆
発見あり :★★★★☆
総合 :★★★☆☆

Amazonの触れ込みに
科学者が「今、知っていること」すべてまとめたスウェーデン発の世界的話題・睡眠本!
とあるように、睡眠について網羅的に書いてくれてる。

元気に頭をクリアに1日を過ごすために睡眠が大事なのは、教えられたり・経験則で分かっているつもりだったけど、今回の1番の収穫は「起きている時間」も睡眠に影響すると明確に理解できたこと。
言われるとそれはそうか、と納得。
朝から活動的に過ごしたり運動した日はよく眠れる、逆に1日じっと動かないとあまり眠くならない、というのも1つの例かと。
起きている間の行動、食事、運動等がその日の睡眠へ影響し、睡眠が翌日のパフォーマンスに影響する。相互依存の関係。

休みの日の夜更かしは楽しいし、時に遅くまで仕事をすると頑張った感があり、と私の場合はぼんやりしていると寝る時間が遅くなって、睡眠不足になりがち。
この本を読んでますます睡眠の「健康」「知能」「感情」への影響、重要性が”頭”で分かったが、実際の行動に移すかどうかは別。
と思ったところで、

アメリカ・アリゾナ大学医学部の研究により、睡眠の時間と質の不足は、仕事上の成果であれ家事であれ、つねに生産性の低下をともなうことが証明されている。』(位置No.386)

との記載も見つけた。
特に仕事の生産性の低下は大嫌いなので、「早寝早起き」「規則正しい生活」と小学生のころから刷り込まれた標語を思い出して実践した方がよさそう。

本「Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔」(著:アイリス・チュウ 鄭仲嵐)★★★☆☆

期待とのギャップ:★★☆☆☆
夢中になれる :★★★☆☆
発見あり :★★★★☆
総合 :★★★☆☆

読む前からわかってる点だけど、書いたのが本人ではなくジャーナリスト。
よって細かなオードリー・タンの経歴や実績といった事実、本人や家族などへのインタビュー?からオードリー・タンの人となりを説明し浮き彫りにしようとしてる。
「香港のコロナウイルス対策でマスクマップ作ったすごい人」程度の予備知識しかなかったので、それだけでも非常に興味深いけど、本人のリアルな気持ち・感情・考えがあまり出てこない。そこはつまらない。もっと知りたいなと。

だからか、おまけの「特別付録 台湾 新型コロナウイルスとの戦い」が1番おもしろかった。
台湾では、伝染病予防対策は2003年SARSの経験を真に活かした仕組み・体制を整えてきたこと、中国で始まる疫病への警戒感を持ってきたこと、頼りにできないWHO…。
政府と民間が手を組んで、真剣に背水の陣で新型コロナウイルスに対応した経緯がわかる。
中国と物理的な距離が近く人の往来も多い台湾が、学校閉鎖もロックダウンもせずに感染拡大を抑え込んだのは、素人から見ても世界を代表する好事例。有能な人材も豊富。